下肢静脈瘤の治療方法と費用
下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、脚の表面にある静脈が拡張し、蛇行して目立つ病気で、見た目の問題だけでなく、進行すると痛みやむくみ、だるさなどの日常生活に支障をきたす症状が現れることがあります。
下肢静脈瘤の治療方法は様々あり、患者様の状態にあった治療をご提案させていただきます。このページでは当院で行う治療方法について解説します。
保存療法
軽度の下肢静脈瘤の場合、まず保存療法を試みます。この治療法では、弾性ストッキングを使用して足を圧迫し、血液の流れを助けます。また、足を高く上げる姿勢を取ったり、適度に運動をしたりすることも効果的です。保存療法は症状を緩和しますが、血管の見た目を改善することは難しい場合があります。
弾性ストッキングとは
弾性ストッキングは、下肢静脈瘤や足のむくみを改善するために使われる医療用のストッキングです。足全体を圧迫することで、血液が心臓に戻るのを助け、静脈にたまる血液を減らします。圧迫は足首が最も強く、上に向かうにつれて弱くなる構造になっています。この設計によって、血液の流れがスムーズになり、症状の軽減に効果的です。当院では、弾性ストッキング・圧迫療法コンダクターの資格を保有した医師が丁寧に説明いたします。
血管内焼灼術(ラジオ波)

当院で主に行っている治療法が、血管内焼灼術(けっかんないしょうしゃくじゅつ)です。この手術は、広がった静脈を内部から焼き固める方法です。この治療では、ラジオ波(高周波)というエネルギーを使って、問題のある静脈を内部から焼き固めます。皮膚に小さな穴を開け、細い管を静脈内に挿入して治療を行うため、傷がほとんど残りません。痛みが少なく、治療後の回復も早く、日帰りで行うことができるのが特徴です。手術は保険が適用されます。
硬化療法

硬化療法は、硬化剤という薬剤を静脈内に注射することで、病変のある静脈を閉塞させます。硬化剤が血管の内壁を刺激し、炎症を起こして静脈が縮小し、最終的に体内で吸収される仕組みです。
この治療法は、局所麻酔が不要で、短時間で行えるため、日帰りで可能な低侵襲の治療法として広く用いられています。手術は保険適応となりますが、場合により保険適応外となることもあります。
ストリッピング

ストリッピング手術は、病変のある静脈を皮下から引き抜いて除去する方法です。通常、大伏在静脈や小伏在静脈に対して行われます。手術は全身麻酔または局所麻酔下で行い、皮膚に小さな切開を加えて専用のワイヤーを用いて静脈を抜き取ります。効果が高い一方、術後の痛みや内出血が起こる場合があります。近年はレーザーや高周波治療などの負担が少ない方法が主流になりつつあります。
静脈瘤切除(スタブ・アバルジョン法)

症状や静脈瘤の形状によっては、血管内焼灼術に加えて、広がった静脈を直接切除する治療を行うことがあります。この方法では、皮膚に小さな切り口を作り、不要な静脈を取り除きます。これにより、より確実に症状を改善することが可能です。切り口はとても小さいため、見た目の影響も少なく、術後の回復も比較的スムーズです。手術は保険が適用されます。
グルー治療

グルー治療は、特殊な接着剤を使って静脈を閉じる新しい方法です。この治療では、接着剤を静脈内に注入し、広がった血管を閉じます。ラジオ波や切除の治療に比べ、さらに侵襲が少なく、治療後すぐに日常生活に戻りやすいのが特徴です。手術は保険が適用されます。
費用
標準的な治療を保険で行った場合のおおよその自己負担額となります。
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
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初診 | 約900円 | 約1,800円 | 約3,000円 |
再診+エコー検査 | 約700円 | 約1,400円 | 約2,000円 |
術前検査(採血・心電図・レントゲン) | 約1,800円 | 約3,600円 | 約5,400円 |
硬化療法 | 約3,200円 | 約6,500円 | 約10,000円 |
血管内焼灼術(片足) | 約14,000円 | 約18,000円 | 約40,000円 |
血管内焼灼術(両足) | 約18,000円 | 約18,000円 | 約70,000円 |
グルー治療(片足) | 約17,000円 | 約18,000円 | 約51,000円 |
グルー治療(両足) | 約18,000円 | 約18,000円 | 約90,000円 |
- 70歳以上で1割(2割)負担の方は自己負担限度額の都合上、外来診療の上限額は18,000円となります。
- 高額療養費制度・・1か月間に医療機関や薬局で支払った額が一定額を超えた場合、超過分の金額を払い戻ししてもらえる制度。
- 生命保険の給付金・・・生命保険にご加入されている場合、手術給付金が支給される場合があります。
詳しくはご加入されている保険会社様にお問い合わせください。手術方法はいずれかとなりますので所定の診断書を入手してお持ちください。 - 医療費控除・・・確定申告で申請すると医療費控除の適応となります。詳しくは所轄の税務署にご確認ください。
治療を受ける前に
どの治療方法を選ぶかは、静脈瘤の状態や患者様の生活に合わせて選択します。診察の際に、超音波検査などを行い、血管の状態を詳しく調べたうえで、最適な治療方法をご提案いたします。治療後の生活指導や経過観察も丁寧に行い、患者さんが快適な生活を送れるようサポートします。
下肢静脈瘤の治療に不安を感じている方や詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。